2007年11月05日

雨

未だに撮るべきではなかったと思う一枚の写真。

好奇心から来る無慈悲な試みは日本に帰ってきてもなお心に留まったまま。


彼らは私が住んでいたbarodaという町のold cityのシンボル的存在の池に

入っているところ。

そこは昔はとても綺麗な水で満たされ、聳え立つ「シヴァ神」の像が一層際立ち、

誇らしく存在していたのだろう。


しかし私がこの写真を撮ったときその池は排水汚水によって黒く濁り、今の澱んだ

インドを象徴するかのような有様だった。


そんな人体にも非常に危険な状況であろう池の中に、写真の男たちは上半身裸で

潜り、池に溜まったゴミを拾っているのである。


それが彼らの職業。


いわゆるカーストだ。


彼らは何も知らない。彼らの行為が自分の肉体にどう影響を及ぼしかね

ないのかも知らないのだ。


彼らは「ただその仕事をまっとうする」のみだ。


かつては(今もかもしれない)汲み取り式トイレの穴の中に入ってその排泄物を

採ったりするカーストがあったと聞く。彼らは死ぬまでその仕事だけをするのだ。



科学万能時代の今が果たして本当に悪いことなのか、

それとも人類が存在する限り、様々な矛盾は成立しうるものなのか。


考えるだけで尽きない話題だ。









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この記事へのコメント
撮るべきではないなら、載せるべきではない。
Posted by あいうえお at 2007年11月11日 21:30
>あいうえおさん

確かに載せるのは適切ではないのかも知れません。

しかし、こうしてあいうえおさんのようにこの写真を載せ
日記を書いたことにより、コメントを頂ける機会ができます。

撮ってしまったという過去はリセットはできませんが、この
写真が何かを考える機会を与えてくれていると思っています。

あいうえおさんも宜しければご感想などありましたらお寄せください。
Posted by avani at 2007年11月12日 15:39
ときどきblogは拝見しておりましたが、
改めてすべての日記を読むと、avaniの示唆にとんだblogだね。
私はこの写真を躊躇しながら掲載したことに共感するよ。

たぶん私も、こういう場面にでくわしたら何気なく写真とる。

で、あとから後悔したりなんかして、
自分が恵まれた日本人であることに後ろめたくなったり、
お金持ちのインド人やカースト制度そのものが腹立たしくなったり、
世の中の人間同士の序列の付け合いみたいなものが滑稽に思えたり、
考えがまとまらなくて、凹むんだ。
でもちょっとでもみんなに何かを伝えたくて、写真を公開したりするはずだ。

ほんとに、尽きないね。
Posted by noz at 2007年11月27日 12:03
>nozさん

大変丁寧な意見、ありがとうございます。
nozさんの仰るとおり、ちょっとでもなにかを伝えたくて
この日記を書きました。
こんなしょぼい日記を見ていてくれてどうも感謝です。

撮った、という事実は翻るはずもなく、かといってそれに
なんの意味もないと感じるほど私は無頓着な人間では
ありません。

この写真を公開したから物事が大きく変わるとは思いま
せん。

でも、これが一つ、誰かの、何かのもしかしたら自分自身の
大きななにかの一歩だと思います。
Posted by avaniavani at 2007年11月28日 13:06
 
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